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「布さらしの灰汁」朗読劇 「バラムの道」

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朗読劇 バラムの道

ナレーター
モアブの王 バラク
預言者 バラム
モアブの長老
主の使い
神の声
ロバ

ナレーター: 
アモリ人の強大な王が二人、イスラエルの圧倒的な力の前に屈したとき、モアブ人は、その同盟国のミデアン人とともに、非常に驚きあわてて、モアブの王バラクは助けを求めた。しかしながら、バラクが助けを借りたいと思った相手は、自分の神であるバアルではなかった。バアルがイスラエルに対して無力であったことは、アモリ人との戦争で証明済みだからである。今回バラクは、イスラエルの神を利用しようとした。この神の力が彼らにとってどれほど脅威であるかは、すでに明らかにされていたからである。この目的のために、バラクは使節に贈り物を持たせて、ペトルのバラムのもとへ派遣した。バラムは、北部メソポタミアに住む高名な預言者であった。祝福したりのろったりすることに多大の力が発揮できる人物として評判が高かったことは明らかである。
(旧約聖書生徒用資料P224より転載。民数記22-24章、民数記22:3-6参照)。

ナレーター:
王バラクはペオルの子バラムを招こうとしてモアブの長老たちとミデアンの長老たちに言った。
バラク 「エジプトから出て来た民があり、地の表を覆ってわたしの前にいます。どうぞ、今来てわたしのためにこの民を呪って下さい。彼らはわたしよりも強いのです。そうしてくだされば、我々は彼らを撃って、この国から追い払うことができるかも知れません。あなたが祝福する者は祝福され、あなたが呪う者は呪われることをわたしは知っています」

ナレーター:
モアブの長老たちとミデアンの長老たちは占いの礼物(れいもつ)を手にして出発し、バラムの元へ行ってバラクの言葉を告げた。
バラム 「分かりました。今夜主がわたしに告げられる通りにあなたがたに返答しましょう」

神の声 「あなたのところにいるこの人々は誰ですか?」
バラム 「モアブの王チッポルの子バラクが、わたしに人をよこして言いました。『エジプトから出て来た民があり、地の表を覆っています。どうぞ、今来てわたしのために彼らを呪って下さい。そうすればわたしは戦って、彼らを追い払うことができるかもしれません』
神の声 「あなたは彼らと一緒に行ってはならない。またその民を呪ってはならない。彼らは祝福された者だからである」

ナレーター:
モアブとミデアンの長老たちは国へ帰りバラクに伝えた。
モアブの長老 「バラムはわたしたちと一緒に来ることを承知しません」
バラク 「では、更に多くの身分の高い人々を遣わし、金銀を持たせよう」

ナレーター:
再び訪ねてきたバラクの家来たちにバラムは言った。
バラム 「たとい、バラクがその家に満ちるほどの金銀をわたしに与えようとも、事の大小を問わず、わたしの神、主の言葉を越えては何もすることができません」

ナレーター:
夜になり神はバラムに臨んで言った。
神の声 「この人々はあなたを招きにきたのだから、立ってこの人々と一緒に行きなさい。
ただし、わたしが告げることだけを行わなければならない」
ナレーター:
あくる朝起きてバラムは、ロバに鞍を置き、モアブの長老たちと一緒にでかけた。
ロバの鳴き声 「グヒーグヒー」(日本語ではこのように聞こえる。)
バラム 「あっ、コラッ、そっちは畑じゃ!道に戻れっ!」バシッ(杖でロバを打つ音)
ロバの鳴き声 「ブアッ、フォー!!ヒーヒーヒー ゴーゴーゴ」
バラム 「痛いっ 痛いっ わしの足を石垣に押し付けるな!」バシッ(杖でロバを打つ音)

ナレーター:
主の使いが抜身のつるぎを持って道に立ちふさがり、また、先に進んで狭い所に立ちふさがった。そこは右にも左にも、曲がる道がなかったので、ロバは主の使いを見てバラムの下に伏した。そこでバラムは怒りを発し、杖でロバを打った。すると主が、ロバの口を開かれたのでロバはバラムに向って言った。
ロバ 「わたしがあなたに何をしたというのですか。あなたは三度もわたしを打ったのです」
バラム 「お前がわたしを侮ったからだ。わたしの手につるぎがあれば、今、お前を殺してしまうのだが」
ロバ  「わたしはあなたが、今日まで長い間乗られたロバではありませんか。わたしはいつでも、あなたにこのようにしたでしょうか?」
バラム 「いや、しなかった」

ナレーター:
この時主がバラムの目を開かれたので、彼は主の使いが手に抜身のつるぎをもって、道に立ちふさがっているのを見て、頭を垂れてひれ伏した。
主の使い 「なぜあなたは三度もロバを打ったのか。あなたが誤った道を行くので、わたしはあなたを妨げようとして出て来たのだ。ロバはわたしを見て三度も身を巡らしてわたしを避けた。もしロバがわたしを避けなかったなら、わたしはきっと今あなたを殺してロバを生かしておいたであろう」
バラム 「わたしは罪を犯しました。もし、お気にめさないのであれば、わたしは帰りましょう」
主の使い 「この人々と一緒に行きなさい。ただし、わたしが告げることのみを述べなければならない」

ナレーター:
さて、バラクはバラムが来たと聞いて、国境のアルノン川のほとり、モアブの町まで出て行った。
バラク 「あなたはなぜ、すぐわたしのところへ来ませんでしたか?」
バラム 「ごらんなさい、わたしはあなたのところへ来ています。しかし、何事かを自ら言うことができません。わたしはただ神がわたしの口に授けられることだけを述べなければなりません」

ナレーター:
こうしてバラムはバラクに燔祭を捧げることを指示して神に会うために一つの禿山に登った。神はバラムの口に言葉を授けて言われた。バラムはバラクの元へ戻ってこの託宣を述べた。

バラム 「バラクはわたしをアラムから招きよせ、モアブの王はわたしを東の山から招き寄せて言う、『来て、わたしのためにヤコブを呪え、来てイスラエルを呪え』と。
神の呪わない者を、わたしがどうして呪えよう。
主の呪わない者をわたしがどうして呪えよう。
岩の頂からながめ、
丘の上から見たが、
これはひとり離れて住む民、
もろもろの国民のうちに並ぶものはない。
だれがヤコブの群衆を数え、
イスラエルの無数の民を数え得よう。
わたしは義人のように死に
わたしの終わりは彼らの終わりのようでありたい」
バラク 「何を言うか!わたしは敵を呪うために、お前を招いたのに、お前はかえって敵を祝福するばかりだ。他の場所へ行こう。そこでイスラエル全体を見て、わたしのために彼らを呪ってくれ」

ナレーター:
バラクは二回目にはピスガの頂きにバラムを登らせ、三回目にはペオルの頂きに登らせてイスラエルを呪うことを神が許されるかと願った。バラムは三回ともイスラエルを祝福した。そしてバラクに言った。
バラム 「祝福せよとの命をわたしは受けた、
すでに神が祝福されたものを、
わたしは変えることができない」

ナレーター:
イスラエルはシッテムに留まっていたが、民はモアブの娘たちとみだらなことをし始めた。その娘たちが神々に犠牲をささげる時に民を招くと、民は一緒にそれを食べ、娘たちの神々を拝んだ。モーセとイスラエルの全会衆とが会見の幕屋の入口で泣いていた時、彼らの目の前で一人のイスラエル人が一人のミデアンの女を連れてきた。祭司アロンの子であるエレアザルの子ピネハスはこれを見て、会衆の内から立ち上がり、やりを手に執り、そのイスラエル人の後を追って、奥の間に入り、そのイスラエルの人を突き、またその女の腹を突き通して二人を殺した。こうして疫病がイスラエルの人々に及ぶのが止んだ。(民数記25:1-8抜粋)
 その後主はミデアン人に復讐を命じた。ミデアンの王五人が殺され、また、ペオルの子
バラムをもつるぎにかけて殺した。(民数記31:1-8抜粋)

ナレーター:
こうしてバラムはモアブ人に入れ知恵をしたのである。バラムはバラクの要請に答えて、直接イスラエルを呪うことはできないと語った時、神がイスラエルを祝福されるのは、彼らが義しい時だけであるとバラクに教えたに違いない。もしモアブ人がイスラエルを誘惑して偶像礼拝に追い込むことができたら、イスラエルは神の力を失うはずである。このためバラムは、その召しと賜物を利用して利益を上げたり、主の民を邪道に導いたりする者たちの象徴となった。
(旧約聖書生徒用資料P226より転載。民数記31:16 新約聖書 2ペテロ2:15;黙示2:14 参照)


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