14020101岸野みさを
フジ子・ヘミング~子犬のワルツ
犬と言えば
岸野 みさを
仕事で、あるお宅を訪問したときのこと、玄関を開けた奥様の後ろに真っ白な大型犬がチラと見えた。白クマみたいだ!用件を告げると「どうぞお入りください」と言って、ドアを大きく開けて奥様が後ろ向きになった途端、ドーン、その大型犬が突進してきて体当り、私は後ろに倒されてしまった。
慌てて奥様は犬を叱って部屋に閉じ込めて戸を閉めたのだが、不意を突かれた一瞬の出来事で、しきりに謝る奥様にこちらも「大丈夫です」と答えるのが精いっぱいだった。またいつ飛び出してくるかわからないという恐怖感で仕事もそぞろだったことは言うまでもない。侵入者を断固阻止する番犬には最適のグレート・ピレニーズだろうか。平均寿命は10年位だそうだからすでにこの世には居ないのだろう。
この時も仕事で広々とした庭を横切ろうとした途端、向こうからドーベルマンのような犬が吠えながら突進してくるではないか!逃げろ!追いつかれると思いながら必死で走って敷地を出ると犬はクルっと後ろ向きになって戻って行く!ホッとすると隣なりの交番が眼に入った。私はこともあろうにその交番に入って行きおまわりさんに抗議したのである。
「危ないじゃないですか、用事で行ったのに」そのおまわりさんは私が何も被害がないかどうかをチラとみて、「困りましたねえ」と言った。「あなたが他人の敷地に不法侵入したからですよ」とは言わなかった。
この時も仕事で顧客の応接室に上がると真っ白い毛の長い小さな子犬がチョコチョコしていた。「まあかわいい」思わず私は言った。いつもは犬にオドオドしている私が…。
子犬に見えるがトイ・プードルだろうか?商談が成立して気分を良くして玄関に戻り靴を履き、そこに置いた日傘を取ろうとすると「うん?」黄色い液体が日傘の上に溜まっているではないか。「あっ、すみません、すみません」としきりに奥様が謝って雑巾をもってきて綺麗にしてくれた。「こらっ、だめよ」とそばでそ知らぬふりをしているトイ・プードルを叱った。犬はこの家の主人は自分だ、という事を示すという記事を読んだことを思い出した。
日本蕎麦屋で昼食にそばを食べている時、隣のテーブルの見るからに営業マンらしい二人の男性の会話が聞こえてきた。耳をそば立てていたわけではないのだが。
「凄い剣幕で吠えたていた犬がさ、急に向こうへ行っちゃったんだよ。ホッとして敷地に入ろうかどうしようかと躊躇していると、さっきの犬が吠えながら突進してくるではないか、見ると口の辺りがベチャベチャしている。吠えすぎて喉が渇いて水を飲みに行ったのさ」「わははは」私も思わずクスクスして、皆犬には苦労しているのだと思った。
長年犬を飼っていた知り合いの話。飼っていたその犬が何を思ったのかある日突然家を出て行ったという。ところがある日立川の町を歩いていると向こうから一匹の犬がこちらに向かって来るではないか。「あらっ!うちの犬?」そう思っているうちにすれ違ってしまい、振り向くと犬も振り向いたそうだ。犬は一瞬振り向いたが何事も無かったかのように行ってしまった、という。家出の犬に声を掛けられなかった?
家路に戻る途中にある階段を登りきると、一人の老人が倒れていた。そばに犬がいた。私を見上げて「助けて」と言っているようだ。そばには2㎝位のアンプルの空き瓶が転がっている。
「どうしましたか?」老人は目を開けて「大丈夫です」と言って起き上がろうとした。大丈夫そうに見えたので私はその場を立ち去って、振り向くと犬がこちらを見ていた。「助けてくれないの?」と言っているのだろうか。
末日聖徒イエス・キリスト教会の宣教師として北海道に伝道に行っていた若い女性が帰還して話したこと。「冬場は赤信号で止まっている時、自転車を動かし続けていなければ氷ついてしまいます。吹雪のとき外にいるのは宣教師と犬だけでした」
聖典の中に登場している犬は、番犬、猟犬、牧犬に分けられるが、半野生状態で群れをなして夜中町を吠え歩く(詩59:6)犬も含まれている。死骸の血をなめ((王上21:19、詩68:23)死人の肉を食べる(王上14:11、王下9:36)に至ってはオオカミ並みである。
ツロの王の娘イゼベルはイスラエル王アハブ(紀元前869-860年)の妻となりバアルの偶像礼拝を民に強要した女でその末路は上述のように犬に食われて、頭蓋骨と足とたなごこころ(手のひら)のほか何もなかった、と記されている。
今の時代でも「お前は○○の犬だ」と侮蔑に使ったりするが、自分を卑下する場合も含めて列王記やサムエル記にも代名詞に犬が使われている。
極め付きは、聖なるものを理解できない者(マタ7:6)偽りの教師(ピリ3:2)再び罪に戻る者(2ペテ2:22、ⅢNE7:8)そしてユダヤ人は異邦人を犬と呼び侮蔑した。(マタ15:26)
愛犬家の皆さんにはフンとそっぽ向かれて当然でしようか?
しかし、動物について書いてみたのは犬が初めてです。
- いやあ、面白く読ませていただきました。ネコは大体、用心深いのか無精なのか、人間を冷ややかに見るだけですから本性は分かりませんが、犬はどうも、そのまんまに何も考えず表現する動物だと思います。なのでぼろも出すし・・・でも、この家出犬はなんなんでしょうか。父が捨ててしまったわが家の犬は、町でばったりあったら、ずっとついてきて、油揚げを買ってごまかそうとしたものの、くわえたままついてきたそうです。子ども心に可哀想で泣けたものです。最近は、ネコ禁断症状も少し癒えましたが、ウォーキングが億劫になってきたので、犬を飼いたいといっているのですが、家内の許可がでません。
でも、アホな犬は願い下げです。その点、ネコはみんなお利口さんです。 -- 昼寝ネコ 2014-02-02 (日) 00:11:42 - 昼寝ネコさま
家出犬は、不確かだったので書きませんでしたが、赤ちゃんが生まれたら出て行った、と
聞いたように思います。 -- 岸野みさを 2014-02-02 (日) 08:03:00 - 犬三昧の話でしたね。 -- コニー 2014-02-02 (日) 20:22:21
- コニーさま
犬特集は面白くないというご指摘ありがとうございました。何かご希望のタイトルがございましたら、それにチャレンジしてみますのでお申し付けください。書けるかどうかは別として…。 -- 岸野みさを 2014-02-02 (日) 20:45:54 - 「子供」と「動物」を出していれば必ず視聴率がとれるというのはテレビ界の常識だと聞いた事があります。と言う事で鉄板のネタである、「動物」に取り組んでいかれるわけですね。注目度抜群になりますよ! 思いますに、しばらく「犬」シリーズを続けていただいて、その後は、当然「猫」、さらには「ミドリガメ」とか「エリマキトカゲ」あるいは「ハムスター」とか・・・。色々広がっていきそうで楽しみです。 -- どうぶつえん 2014-02-02 (日) 22:13:26
- 面白かったっです。こんな一面もお持ちだったんですね!!おまわりさんに、抗議するなんて!(笑)犬怖かったんですね。
私は、犬に困らされたことは一回もないですし、犬に対して良いイメージしかなかったのですが(忠実で賢い)、あらためて聖文を読んで、軽いショックを受けました。
”自分の吐いたものに帰る犬”(ⅢNE7:8)を見たことないですが、主は、犬のように生きてはいけないと、言われているのでしょうか。
自分は、犬のように振る舞っているときがあるのでは…と思います。
……悔い改めます……(汗) -- みゆき 2014-02-02 (日) 22:21:36 - どうぶつえんさま
あなたこそ面白動物たちを書けるのだと思います。とてもそのように豊かな連想ができないので、結局私は動物を見ていなかった人間となるのでしょう。トホッ! -- 岸野みさを 2014-02-02 (日) 22:48:17 - みゆきさま
穀粒で初めまして!コメントありがとうございました。
抗議されたおまわりさんの困り顔を思い出します。確かに八つ当たりです。噛みつかれたわけじゃないのに…。こじつければ、おっしゃる通り怖かったという精神的苦痛を訴えただけなのです。 -- 岸野みさを 2014-02-02 (日) 22:57:36 - 体当たりされたり、追いかけられたり、犬にまつわる経験がこんなにあるとは大変なことでした。そんな経験がないので、他人事で楽しく読ませていただきました。
聖典の中からも犬のことを語れるとは、さすがです。
我が家にはネコが2匹います。動物は嫌いじゃないのですが、吠える犬はいやですね。散歩する道に、檻に入った大きな犬がいて必ず吠えるんです。でも、そこを通らないと紅梅が見れない。 ★この道は犬吠えてくる濃紅梅 なんです。 -- としえ 2014-02-03 (月) 22:47:56 - としえさま
ネコが好き!昼寝〇〇先生がニッと喜びますよ。
吠える犬は仕事をしているのでしょうか?「お前誰だ?」みたいに、折角の濃紅梅なのにねえ。 -- 岸野みさを 2014-02-03 (月) 23:27:46 - としえさま
としえさまの素晴らしい句を思い浮かべながら眠ろうとしたときに、同じお題をお借りして一句できました。(パクリ句)
「風情なし犬に吠えられ梅見かな」
梅見が台無しだと言いたいのですが、としえさまの「この道は犬吠えてくる」が生き生きとしていることに気が付き、画像が出て来るのですが、私の句は漫然としていて、それこそ風情がありませんでした。大変失礼しました。 -- 岸野みさを 2014-02-04 (火) 06:45:58 - 犬は、猫と異なり、こちらの人格に影響を及ぼしますね!
参考になりました! -- 炎のランナー 2014-02-05 (水) 21:32:05 - 炎のランナーさま
娘が言っていました。「結局ネコ派か?犬派か?よ」と。どっちでもない派の私は何だろう? -- 岸野みさを 2014-02-05 (水) 23:21:06