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2014.02.15 エッセイ「神のごとき新聞・東海新報」のコラム連載を終えて  投稿者:昼寝ネコ

Astor Piazzolla - milonga tres
 
「神のごとき新聞・東海新報」のコラム連載を終えて
 
 
 
昼寝ネコ
 
 
どの新聞にも社説があり、社説を読めばその新聞社の
基本姿勢が分かるのだろう。
全国紙、地方紙それぞれの社説を読みくらべ、
日本国民のために国益を追求している新聞か、
はたまた外国の利益のために捏造記事を書いている
売国新聞か、という検証結果がネット上に掲載されている。
その検証結果で「神のごとき新聞」と、絶賛されている
新聞を発行しているのが、
岩手県・大船渡市に本社がある東海新報社だ。
東海新報では社説という表現をせず、
「世迷言」と表記している。よまよいごと、と
読ませるのだと思うが、確認していない。

北海道の北海道新聞社を皮切りに、青森、岩手、宮城、
そして福島県のいわき民報社まで、15社の新聞社を
駆け足で訪問し、記事掲載のお願いをした。
東海新報社の社屋は、なかなかモダンなデザインで
海を見下ろす高台に位置していた。
しばしリアス式海岸の景観に見とれ、玄関に向かうと
玄関前で創業社長の銅像が出迎えてくれた。
以前のチリ地震のときに、津波の被害に遭い、
新聞の発行を休止せざるを得なかった経験から、
それを機に、高台に移転したそうだ。
そのときに英断した創業社長の銅像だった。

応対してくれたのは編集局長で、なかなか
眼光の鋭い方だという印象を受けた。
どうも誰かに似ていると思っていたのだが、
その後しばらくして、それがアルジェリア生まれの
フランス人作家・アルベール=カミュであることに
思い当たった。

ひょんなことから、気仙に触れた内容の記事を
社の窓口になってくれている常務に送ることになった。
最初は、数の多さと文章の長さに驚かれたようだが、
社内でどういう検討があったかは知らないものの、
気がついてみたら、連載してくれるという。
2013年の11月から掲載が始まり、17回目最後の記事が
数日前に掲載され、約3ヶ月間の連載が終了した。
よく最後まで、私ごときの駄文を掲載してくれたと、
素直に、大変嬉しくもあり、有難く思っている。

地元の綾里(りょうり)に住むという女性の方や、
50年前に陸前高田を後にし、現在は埼玉に
住んでいるがずっと東海新報を購読しているという
男性の方それぞれから、記事を読んでお電話をいただいた。
「おとといの記事の最後に『終わり』と書いてありましたが」
と告げられ、ああそうか、もう終わったんだと、
正直に言うと、少し寂しい気がしている。
その電話をくれた綾里の女性が、若布(ワカメ)漁が
始まったので、今日送りますといってくれた。
お湯で戻すと、鮮やかな緑色に変色するそうだ。

郷里でも何でもないが、心にかけてくれる方が
何人もいると、こちらも自然と情が移ってしまう。
気仙とは、そのような人情の深い土地なのだろう。
近くに「民話のふるさと」で知られる、
遠野(とおの)という町ががある。
地元の宮澤賢治に親近感を抱く人が多いようだが、
気仙こそ、「気仙民話」や「気仙文学」が生まれる
そんな土壌なのではないかと、ずっと思っている。
仕事柄、状況が許せば「気仙民話」や「気仙文学」が
芽を出すよう、種蒔きのお手伝いをしたいと
心から思っている。

昼寝ネコではなく、本名が表記されているが、
人間の姿の時も、ネコの格好をしているときも
中身は一緒なので、記念に最後の掲載となった
「まだまだ終わらない気仙の夏(下)」を掲載して、
連載のしめくくりとしたい。

東海新報さん、長生きして地元の皆さんに寄り添い、
読者を裏切らない信頼できる新聞社として
これからもずっと存続してください。
有難うございました。大変お世話になりました。
おかげで私は、周りの人たちに「先生」と呼ぶよう
強要することができるようになりました。
そして、20年後のノーベル文学賞という
人生の新たな目標が生まれました。
(誰も本気にせず冗談だと思っています、
敬老精神に欠ける、失礼な人たちです。爆笑)

(東海新報掲載コラム 2014年2月12日)

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  • 小野和俊様
    連載終了おめでとうございます。
    伝えたいことを全て伝えつくしましたか?読者がわざわざ電話をかけてよこすのは余程のことでしょう。そうした読者からのアクセスが一番の励みになりますね。広告原稿ということであればギャラナシ?でもいいということになりますか? -- パシリーヌ 2014-02-16 (日) 09:51:38
  • 今までの連載はどこで読めますか? -- 青い空 2014-02-18 (火) 22:44:59
  • パシリーヌさん

    有難うございます。見ず知らずの読者から反応があるというのは、嬉しいものです。一連の記事は広告原稿ではなく、新聞社の規格では投稿扱いです。私が掲載費を払う訳ではなく、同時に新聞社から原稿料が支払われる訳でもありません。でもまあ、かなり保守的で硬派の新聞社ですから、連載してくださったことは大変光栄に思っています。

    青い空さん

    お読みくださり有難うございます。今までの連載をお読みになりたければ、ネコ長屋まで遊びにいらっしゃってください。お忙しいようでしたら、以下に全部の記事を掲載してありますので、そちらでお読みください。
    掲載場所:http://www.crossroads.co.jp/index.php?go=QNa8P1 -- 昼寝ネコ 2014-02-18 (火) 23:02:58

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