14071801岸野みさを
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2014.07.18 エッセイ「土いじり」投稿者:岸野 みさを
造り主の主を
土いじり
岸野みさを
連休に白馬村の家に行った。
夫が家の裏の畑に野菜を作ると前々から言っていたので、うねを鍬とスコップで掘り起こしてみた。農機具を使うのは何年振りだろうか?「サマになっているじゃないか」と夫に褒められた。
一昨年死んだ弟の嫁が野菜畑にしていたので黒土で程よい畑だ。その嫁に電話で何を植えればいいのか聞いてみた。夏草がボウボウと生えて来るので沢山植えない方がいいと言う。それで、ミニトマトの苗5本、ナスの苗5本、しその苗2本、ピーマンの苗2本、ブロッコリーの苗2本を植えていたら、隣家のおじさんが来て「まだ早いよ」と言った。この時節は霜がまた来るので自分はジャガイモも植えてない、と言う。
霜よけの袋を被せなければいけない、と言った。夫が霜よけの棒や袋を店に買いに行った。
霜よけが終わったので今度は妹に電話を入れると「苗の上に新聞紙をバサッとかけなさい」と言う。それをやったが次の日には雨になってしまった。雨で重くなった新聞紙が苗によくないと思い、取り除いた。
八王子に戻り一か月後また白馬に行ってみると畑のうねの中にまで雑草が押し寄せていた。
10センチくらいだが雑草の三大トップであるスギナ、ササ、ヨモギである。雑草はいずれも根っこで繋がっているので退治するのが大変だが、きれいに抜いてうねには雑草がなくなった。
ミニトマトはどの苗も黄色の花を付けていて、ナスはどれも元気がなくて枯れかかっている。シソには派手色の毛虫が一匹ぞろり。ピーマンには蟻の卵が沢山産みつけられていた。元気なのはブロッコリー2本だけだ。葉が青々として、ひと際大きく成長している。種で蒔いたインゲンは2本だけ苗にまで成長している。
北アルプスの壮麗な山岳を眺めながら帰京する時に、白っぽい藤の花のような花房を付けている木々が川辺に添って群生しているのがやたらと目に付く。何の木か夫にきいてみるとニセアカシアだという。不名誉な名前だがその多さに驚いた。北米原産の外来種で旺盛な繁殖力によって分布が拡大して止まらないそうだ。自然生態系を乱す恐れのある植物として駆除対象になっているということだが、効果的な駆除方法が見出されていないという。アカシアと名のついた高級はちみつはこのニセアカシアから獲るそうだ。
また、一か月後白馬に戻り、作物がどうなったのか、車から降りるなり見に行くと、まあ!夏草がボウボウではないか。先月うねにあったスギナは全部退治したはずなのに20センチくらいなのが所狭しとびっしりと茂っている。うねのまわりにはヨモギがⅠメートル位の高さになって押し寄せている。電動草刈り機の使い方を義妹に聞いて刈らないと、鎌だけでは到底できる範囲ではない。
雑草の中でミニトマトは支えをしなかったので枝が倒れながらも青い実を沢山つけていた。黄色い花も沢山咲いている。先月一番元気だったブロッコリーはなんと、見事に虫に食われてスジだけが残っている。花の部分は黄色になって朽ちる寸前だ。ナスも花と小さな実を付けているではないか。シソも元気になってきた。驚いたのは種で蒔いたインゲンだ。2本共元気で、実が丁度食べごろなので8本の収穫を得た。夜、早速味噌汁の具にすると、味といい鮮度といい、もぎたてはやはり違うと満足した。
5歳の孫に「スイカ植えてきてね」と言われたので、前回来た時に苗を2本植えたがツルが雑草の中にまで伸びて行って黄色い花を咲かせている。来月の楽しみだ。
雑草に攻め込まれてもトマトはトマトになろうとし、ナスはナスになろうとして、花を咲かせ実を結ぼうとしている健気な姿に、なぜか人が重なって見える。雑草のようなこの世の常に攻め込まれても、自らを結実させようとして労苦に労苦を重ねている姿は健気でいじらしく、愛おしい。
- つい最近、知人夫婦が住まいを引き払って、長野県の大町の原野に仮小屋を建て、自力で住まいを建築中であることを知りました。自然に近い生活は、頭の中では憧れていますが、なんでも自分でやらなければならないのは、とても無理ですね。でも、土に近く生きるのは、やはりいいだろうと思っています。 -- 昼寝ネコ 2014-07-18 (金) 22:56:50
- 昼寝ネコさま
大町は白馬よりも南で雪も少なく住みやすいです。都会から白馬の別荘に越してくる人たちは大体冬を越せないようで、若いうちは何とか過ごせても老齢化と共にまたどこか暖かい所へ行ってしまうようです。どこの地であっても住めば都になるというわけにはいかないのでしょう。 -- 岸野みさを 2014-07-18 (金) 23:30:37 - 遠距離菜園ですか。よくやりますね。土いじりは好きですが今はすっかりご無沙汰です。私も大町に来ないか?と誘われたんですけど、寒い所は嫌だと言ったら、長野でも雪が少ないと確かに言ってました。そんな勇気はないですね。 -- あらら 2014-07-22 (火) 14:45:44
- あららさま
遠距離菜園などは野菜たちにとって迷惑なだけのことです。こうしている今もどうなっているのか心配ですが…。親(農夫)がなくても子(野菜)は育つ、だといいのですが。
今度、白馬に遊びに来てくださいね。北アルプスの雄姿を観て俳句がいくつも出来ることでしょう。ただし遠距離運転のできるご子息が一緒でないと無理かと思います。牛久からは何時間かかるのでしょうか?八王子からは休み休みで5時間かかります。 -- 岸野みさを 2014-07-22 (火) 15:12:08