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14080401徳沢愛子

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2014.08.04 詩・散文「矛盾の間(あわい)から」 投稿者:徳沢 愛子

「ツァラトゥストラはかく語りき」 'Also Sprach Zarathustra' Einleitung
 
矛盾の間(あわい)から
 
 
徳沢 愛子
 
「私たちは、人を惑わしているようであるが、しかも真実であり、人に知られていないようであるが、認められ、死にかかっているようであるが、見よ、生きており、懲らしめられているようであるが、殺されず、悲しんでいるようであるが、常に喜んでおり、貧しいようであるが、多くの人を富ませ、何も持たないようであるが、すべての物を持つ*」

あなたは美しいが この醜さ

賢い知識人だが その愚かさ
奉仕精神に溢れているが 何もできない
愛されているが 愛せない
現世にいるが すでに来世

世界は矛盾に満ちている
矛盾の河は樹々の間をくねり
風や雲や小鳥に手を振る
男にも女にも深い眼差し
矛盾の間(あわい)から発する温かな息吹き
光輝く者が白い項(うなじ)にキスをする
世界を席捲する 熱い歌

さようなら こんにちは
遠くで時計が時報を打つ

永遠に鳴りひびく気配
更なる矛盾に満ちて軽々と
こんにちは さようなら

矛盾こそ神の恩賜
      
      *新約聖書Ⅱコリント6:8-10
      (徳沢愛子著「加賀友禅流し」から転載)
 
 
 

  • 行間に哲学的な思索が込められた、余韻のある作品でした。有難うございます。 -- 昼寝ネコ 2014-08-04 (月) 16:49:21
  • 徳沢愛子姉妹
    貴女は今の時代のパウロでしょうか。この真理に到達できないが故に「現世にいるが すでに来世」なのでしょうか? -- 岸野みさを 2014-08-04 (月) 20:38:32

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