15103101徳沢愛子
2015.10.31 詩・散文「父の遺産」 投稿者:徳沢 愛子
エッチなことを言おうとする時
決まって鼻穴が生き物のように広がった
抑えた笑いが
二つの穴から出たりへこんだり
親切にされると
ご老体は素早く拒絶の構え
<無礼者!!>
うれしいくせに照れには負ける
あの目の光でわかる
93年の歳月に押されて
今は声が出ない
ここに来て 沈黙は金
あの世の扉を背にして
足らずの娘には
説教したいことばかり
たった今 手軽に思いついたのではない
93年かかって気づいたことども
ルルドの泉のように
溢れてくる伝えたい言葉たち
残してゆきたい思いか
軍隊式敬礼
足萎え ベッドの身の上には
説教 訓戒よりも
イカス男の仕上げの挨拶
息を殺した一瞬の一瞥
何もかも見透かす眼光
ボディブローのように利いてくる
深い詩の一行のようだ
- 徳沢愛子姉妹
最後まで父の尊厳を敬っている娘、この父にしてこの娘あり。 -- 岸野みさを 2015-11-01 (日) 22:40:47 - 愛に溢れたこの詩があまりにありありとして
目に浮かぶようです。ありがとうございます。
父上が
何を言わんとしているか
今ではすべてお見通し
すべて仕草が愛おしい
お父さんたら‥
まあお父さんたら
娘の視線は母の愛
ああ愛おしい愛おしい
-- ふわふわの 2015-11-02 (月) 02:56:46