穀粒(こくつぶ)会員のための、創作および出版支援サイト

16021101春一番

トップページへ 譜面台の練習曲メニューへ

2016.02.11 エッセイ「お帰りなさい」 投稿者:春一番

いまある宝もの

「レッスンが続けなくなりました」長老たちは当時の東京西支部、菊地良彦支部会長に相談した。「教会の話はしなくてよいです。お元気ですか、とあいさつに訪問してください」菊地支部会長のアドバイスをきっかけにレッスンは続き、バプテスマを受けた。数年後北部極東伝道部に宣教師として召される。わたしは伝道地から送られてくる兄の体験談や証、そして教会に行き福音を聞くよう勧める手紙を興味深く読んだ。兄の伝道中バプテスマを受ける。やがて兄は帰還、神殿結婚した。わたしも兄の模範に従い宣教師として働き、神殿結婚する。兄弟の念願だった母のバプテスマも見ることができた。兄はわたしの「霊の恩人、わが家の開拓者」だった。
やがて年月が流れ、兄は2度目のビショップの責任を最後に教会を離れた。行く先々でわたしの名前を知ると、面識のない人でも尋ねる。「弟さんですか?お兄さんにはお世話になりました」笑顔で応対する。ただしそれに続く質問に答えるのはいつも複雑な思いだ。「お兄さんはお元気ですか?」「元気ですが、教会には行ってません」ほとんどの人は驚く。「え、まさか・・・」
毎月神殿参入するとき祈りの名簿に書く名前のうちふたりは、長い間教会を離れている兄と兄嫁の名前だ。
2016年1月24日は町田ステーク大会だった。前日の土曜日吉祥寺ワードに集っている三女が、急遽孫と八王子の実家に泊まることになった。高校の同窓会が長引き、家に帰るには夜遅くなるからだ。ステーク大会の当日妻が体調の具合が悪くなった。運転は妻がするので出席できない。妻は電車で行くことを勧めたが、娘と吉祥寺ワードに同行することを選んだ。聖餐会には遅れて礼拝堂に入り席に着いた。聖餐会が閉会すると長女の夫の長谷川ビショップが壇上からおりてきて告げる。「おじさんが来てますよ」振り返ると兄が座っていた。姉がドア付近で教会員と話している。わたしは突然の祝福にとまどった。
翌日兄からメールが届いた。
「昨日は姉妹を連れて久しぶりに教会に行くことができました。思いがけなくあなたに会えてよかったです。とても喜んで涙を流してくれた姿に感動しました。心配かけましたがどうやら再出発できそうです。賛美歌を歌って聖餐を取り証やお話しを聞くことはとても霊的な経験でした。今朝寒さのせいでしょうかお湯が出なくなりました。
普段何気なく使っているお湯が出ないとこんなにも不便になるのか痛感しました。賛美歌や聖餐も証も同じですね。当たり前にしていたときはそのありがたさがよくわかりませんでしたが、久しく離れていると歌う賛美歌や聖餐のパンや水や証や話しがとても貴いものだとよくわかります。時間をかけて慣れてゆきたいと思っています」
疎遠だった兄とはある日家族歴史探求でつながった。わたしが先祖の情報提供を依頼してからしばしばメールでやり取りするようになった。ときに目に見えないご先祖様の働きは霊的な支えとなっている。神殿での祈りは信仰を育む。
「兄さん、姉さんお帰りなさい。わたしはとてもうれしいです」

  • 春一番さま
    穏やかな春一番でしたね。毎月神殿の祈りの輪の中で何十年(?)祈り続けたことに主はお答えになったのですね。また、エライジャの力は偉大で驚嘆します。ご自分の改宗に触れておられますが、私が吉祥寺で日曜学校の青少年のクラスの教師をしていた時、春一番さまが初めて出席されました。兄上とは対照的に寡黙な印象でした。出席はそれが最初で最後でした。クラスが変わったのか記憶が定かではありませんが、クラスでお見かけすることはありませんでした。 -- パシリーヌ 2016-02-13 (土) 12:52:19

認証コード(0802)

powered by Quick Homepage Maker 5.3
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional