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17120101岸野みさを

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2017.12.01 エッセイ「ちょっと怖い小話」 投稿者:岸野みさを

夢だったが
 教会から戻って食事して3時半頃ウトウトしていた。何故かトラックみたいな車に孫のKとママと私の3人が乗っていた。トラックが止まって、ママは用事でどこかへ行ってしまった。知っている女性が来て、知っているのに誰だか思い出せなかった。「出発」と言うのだ。するとKがいなくなっていた。その人は「現地に着いてから探したら」と言って車は出発した。私は「今いなくなったのよ」と言いたかった。途中でKが泣いていると思って私は「電車で戻るから降ろして」と言った。「今日は有名な先生の講演会なのにね」とその女性は言った。
 車を降りて駅で切符を買おうとしても売り場がない。すると3人の老人が椅子に座っていて「切符なら23000円だよ」と言うので、私は「そんな!230円なのに」と言うと眼が覚めた。嫌な夢だった。日常の中でしっかり鉄の棒につかまっていなくては!と思った。

庭のぶどうを食べたのは鳥?
 ぶどうの皮が一カ所に10個くらい落ちていた。房をよく見ると熟したのだけを食べてある。樹にネットを張ってあるのに隙間から入ったのか?葉が茂っているので上からぶどうは見えない筈だが。そんな騒ぎを主人としていた時にも窓の外に鳥が飛んでいた。孫たちが楽しみにしているのだから、泥棒しないでよ。
 数日後弟が尋ねてきてその話をすると、現場を見て「これは鳥じゃない、人間だ」と言った。「鳥は一カ所に皮を捨てたりしないよ」そうか、と思った。そして近所の障害のある男性のことがチラと脳裏をかすめた。ある日の夕方家に着いたので車を降りるとうちの裏からヌーと彼が出て来るではないか。本来なら他人の敷地へ不法侵入したのだが、主人は咎めもせず「今晩は」と言い、その彼も「今晩は」と言って自分の家の方へ歩いて行った。図体が大きいので私は怖かった。

 私が感じるその種の恐怖感は幼児体験のトラウマからきている。5、6歳の頃だったか、裏の家のお姉さんが突然玄関の戸を開けて入ってきた。いろりにいたおばあちゃんの向かい側に座っておばあちゃんに何か言っていた。するとおばあちゃんは側にあった火箸をとっさに振り上げて「なにい?」と言った。するとそこへ裏の家の人たちが入って来て「すみません」と言ってお姉さんを連れて帰って行った。近くのこたつで全てを見ていた私は体がすくんでしまった。大人になってから考えてみるに、お姉さんは何と言ったのだろう。やはり「殺してやる」と言ったのだと思った。しばらくしてからお姉さんは精神病院に入院したと聞いた。

あなたがたはいつまで光よりも闇を選ぶつもりか
 教会から離れて十数年になった。色んなことを一生懸命やって、その祝福を受けても何か空しかった。数年前から毎日モルモン書を読み始めて、ニーファイやサムエルの預言者たちが自分の目の前に現れて語ってくれたように感じた。ある時夢を見た。何人かで下りのエレベーターに乗っているのだが、どんどんエレベーターは下降して行って、ボタンさえ押せばよいのに、誰もそれができなかった。急下降になって「キャー」と悲鳴をあげると、自分の声でハッと目が覚めた。ボーとしながらモルモン書を開くとヒラマン13:29に「あなたがたはいつまで光よりも闇を選ぶつもりか」という言葉が胸に突き刺さった。(ある会員が教会へ戻って来た時のお話)

帰って来なかった山小屋の番人
 筆者の白馬村にある家の隣の家のそのまた隣のご主人の事。雪がチラホラ降り始めた頃山小屋を閉めて「帰る」の連絡があった。数日待ったのに彼は帰って来なかった。家人は捜索願いを出した。山小屋は例年の通りしっかりと戸締りをしてあったのに彼の痕跡はどこにもなかったそうだ。熊に襲われたのか、遭難したのか、はたまた拉致されたのか既に5年も経っているのに手がかりがないという。

山中を彷徨った青年
 ある家の建築のために来ていた大工さんが近道をして、自分の家の裏山を越えると現場に到着するので、山越えをして通っていた。ある日の夕方いつものように山越えをして帰って行った。次の日、いつもの時間に来ないので雇主が連絡をとると、「夕べ一晩中、山中を彷徨っていて、明るくなってきてから自分の位置が判明して、ようやく家に戻ることができた。きつねに化かされた」と言ったそうだ、それ以降大工さんは山越えはせず、3倍遠回りになる村道を自転車で通ったという。

小谷村の女児行方不明事件
 2016年8月27日、小谷村の祖父母の家に遊びに来ていた小学1年生の女児が行方不明になった。50m離れている公民館に祭りの準備の為に先に行った母と兄の後を追ったという。村人に神社の近くを歩いている姿を目撃されたのが最後で、同日夕方、祖父母の家から300m離れた道路わきの草むらで女児の履いていたサンダルが見つかり、2日後、そこから700m離れた村内の川で発見された。外傷はなく、長野県警は司法解剖の結果死因は水死と発表された。今も癒えないご家族の気持ちを思うと、こうして掲載するのは配慮に欠けるのだが、小谷村は私の白馬村の家のすぐ隣で、風光妙微な里山にある。「子どもから目を離してはいけない。のどかな田舎であっても、どこに危険が潜んでいるのかわからない」ということを伝えたい。

 「その辺は魔界じゃないか?」と友人に言われたが、白馬村は長野県屈指の観光地で夏は北アルプス連峰の登山客で賑わい、冬はパウダースノーを好むスキー客で繁盛している。


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