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2019.04.21 詩・散文「暴虐」 投稿者:徳沢 愛子

雨が降った 雨が降った
降るだけ 降った
昨日も今日も降って降りまくった
治水の行き届いた今の世に
雨の神は日頃の鬱憤を爆発させた
これでもか これでもか
参ったか 反省したか
悔い改めたか 目覚めたか
山を崩し 橋を破壊し 家を流し
車をひしゃげ 信号機を押し倒し
コンビニエンスストアのガラス戸を蹴破り
国道を 県道を 市道を 生活横丁を
泥水の怒濤で襲いかかった
幼女を流し 新婚を流し
働き者の爺様婆様流し
タンスを 茶碗を 布団を
家庭を無慈悲にカチ壊して 去った
アッという間の早業
神無月は10月
この7月 神はどこへ出かけられたか
この風景は一体なんだ
泥長靴で呆気のように佇つ
母の雑布のような背中を
今 炎天が焼いている
恐ろしいほど風のない昼下がり

  • 「この風景は一体なんだ」「暴虐」だったんですね。自然のド迫力の驚異の前に佇つ人はただ呆気のようなものなのだと共感します。 -- 岸野みさを 2019-04-23 (火) 11:14:50

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