20101901徳沢愛子
2020.10.19 詩・散文「桃色の湯船の中で」 投稿者:徳沢 愛子
桜色の湯舟の中で 徳沢愛子
金沢の兼六園
大桜の下
風が三つ四つ花びらを流す午後
蒸し饅頭のような頬をした赤子が
水色の乳母車の中で眠っている
桜色の優しい時間
寝息も立てず
赤子は桜色の夢を見ている
時々 睫毛が震えているもの
きっと きっと 花の香りに
驚いているにちがいない
あれっ 今 笑った
あれはむし笑い
眠りの澄んだ上澄みにいて
桜に頬ずりされている
蒼い宇宙と 桜色の大地
往ったり 来たり
赤子は夢の高見で
世界はこんなにも素敵と
一途に叫んでいる
ここに夢見る赤子がいる限り
老いた私は まだ生きられる
同じ夢の湯船で
赤子よ 未来よ
どうか美しくあれと祈る私は
今 桜色の溢れる湯船から
出られないでいる
- 桜色の夢を見る赤子はお孫さんでしょうか?
わたしは五十代の半ばに初孫を腕に抱く喜びを得ましたが、それは人生の喜びと幸福が彼らを通して受けられると言うことに気づいた時でもあります。改宗した当時はすぐにでも主の来臨を願ったものですが、その日を五十年ほども待ちわびた今は、
すべてや孫たちが恋愛をし、結婚し、子供たちに恵まれる日まで引き伸ばしていただけるように祈る日々です。 -- 山田憲彦 2020-10-20 (火) 13:33:08 - 「蒸し饅頭のような頬」とは言い得て妙ですね。
誰かが死ぬと誰かが生まれる、とは言い伝えですが、我らも幕を通れば次の世界に「生まれた」と喜ばれるのでしょうか? -- 岸野 みさを 2020-10-22 (木) 10:49:16
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