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2021.09.28 自分史・家族史「老い」 投稿者:岸野  みさを

老い
昨日一番悲しかったことは保険契約者の老いた姿を見たことだった。「お母さん、保険の岸野さんよ」と娘が言うと、思い出そうとするかのようにまじまじと見つめている。「今日は寒いですねぇ」と声をかけると「外は寒いですか?」と急にニコニコして元気な声が返ってきた。記憶がなくなっても会話が通じることはなんと素晴らしいことだろうか。笑顔で対応できるなんて、なんと素晴らしいことだろう。自署ができなくなっているので娘が母の手に自分の手を添えて書く。子供のころ親に手を添えてもらって文字を書いたことが脳裏に走る。「状態が悪い日もあるんですよ」と老いた親を大事に毎日ケアーしている娘の笑顔がさわやかだ。一週間に3回デイサービスに通っているそうだ。老いは誰にも来る。子供の頃おばあちゃんが「足が動かなくなって、手が動かなくなってダルマさんのようになるんだよ」と言ったことが急に思い出された。ダルマさんかぁ!

さっさと行けよ
娘の迎えの車がまだ来ないので歩き始めることにした。住宅街の入口の坂道の歩道を歩いていたらいきなり「すみません」という声が後ろから聞こえてびっくりして振り返ると、背の高い若い男性がいた。すみません、先を急ぐからどいてくれということだった。狭い歩道は車道とガードレールで仕切られていて、歩道の反対側は土手になっている。しかもガードレールは跨げるほど低くはない。追い越した男はあっと言う間に先に行ってしまった。
 しばらく行くと若いカップルがこっちに向かって歩いてくる。男は幼児を抱いている。私が歩道を歩いているのでそこにあった人家の門のスペースで立ち止まって待っている。「すみません」と言おうとした直前だった。「さっさと行けよ!」と「あっ、すみません」男は顔を背けていたが妻らしき女と目があった。早く歩けないので、待っていることが分っていても小走りができないのだ。それが分っているかのような彼女の表情にホッとした。
 歩行困難とまではいえないのだが、つくづくスローペースになってしまい人さまのペースには追い付けない。老いは足から始まる、とは本当だった。トホッ。

単なる寝ぼけ
中1の弟と高2の姉がソファーで転寝をしているので母親が「ちゃんと寝なさい」と言って弟を起こすとしぶしぶ起きたと思ったらキッチンに行き、何故か手に握っていた鉛筆に水を汲もうとしている。「それってコップじゃないよ、鉛筆だよ、鉛筆!」母親の大きな声でようやく目が覚めたようだ。

単なる勘違い
砂糖パンが大好きな大学生の孫息子は自分でパン切りナイフで厚切りにしてオーブンでこんがり焼き、バターをタップリ塗り、その上に砂糖をドカッと乗せた。いざ、いざ、パクリ!ゲッ、ペッ、塩、塩じゃないか?
砂糖と塩の似たような入れ物を間違えたのだった

  • 足もそうですが、目もそうかもしれません。
    最近私は文章を見たり書いたりしいると気持ちが悪くなり、もっぱら、日記など録音しています。
    マイペースでいきましょう。 -- 丸山幹夫 2021-09-30 (木) 09:06:06
  • 目もそうなんですか?音声の録音はいいですね。難しそうですが……。「映像の世紀」を視ていて本人の音声がでると途端に現実味が感じられますね。 -- 岸野 みさを 2021-09-30 (木) 16:06:00

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