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14051001徳沢愛子

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2014.05.10 エッセイ「共に寄り添い」 投稿者:徳沢 愛子
 
 
共に寄り添い
 
 
徳沢 愛子
 
 
 友人たちと26cm四方の白布に絵や文字を書きこみ、6枚ずつ縫い合わせ一枚の大きな作品にする。それを7枚作った。大きな励ましのパッチワークだ。それを福島の被災地へ送った。老若女性みんな思いを一つにして制作した。人も我も一つになることは、その心を喜ばせ、浄化させる力を持つ。その深い喜びを味わうと、また次の奉仕がしたくなる。

 私は本だらけの家の中を整理した。大きな段ボールに山のように本を詰め、郡山市といわき市の中高生達に送った。生活や心の支えになるものはすべて流されてしまった人々には本もまたパッチワークの中の絵や言葉のように、人々の心を癒すにちがいない。宅急便のお兄さん一人では持てないほど本はあった。

 中高生達は海綿が水を含むように読んでくれるだろうか。あの混沌の中で本を読むという落ち着いた精神状態になれるだろうか。やさしい言葉や絵が彼らの希望や勇気への、階段の一つになるだろうか。それがきっかけで人生に弾みがつくだろうか。こういった一連の行為は自己満足ではないだろうか。問いかけは次々湧いてきたが、考えても仕方がないことばかりに思えた。ただ一つ言えることはみんなが心を一つにして少しでも助けてあげたい、何とか力になりたい、共に頑張っていきたい、そういった思いはすべてを凌駕するのではないのか。

 後日、本を持って写真におさまる中高生の笑顔が届いた。笑顔は飛びきりの上等であった。
(サムエル183号より転載)
 

  • 徳沢 愛子様
    サムエルからの原稿の転載許可を有難うございました。確かにご指摘のように、読書によってなんらかの変化は期待したいと思います。でも、それ以上に、何年経っても自分たちを忘れずにいてくれている、ということが嬉しいのだと思います。世の中は、次々と事件が起き、どんなに強烈なできごとであっても、時間とともに風化してしまいます。でも、被災地ではまだまだ、震災の爪跡という現実と向き合う毎日なのだろうと推測しています。有難うございました。 -- 昼寝ネコ 2014-05-10 (土) 15:07:11
  • 思いから始まる人の善意の結集は大きな力となって人を励まし、助けて、ひいては救うことになるのですね。姉妹の行いのある信仰のメッセージに感謝致します。 -- 岸野みさを 2014-05-10 (土) 16:40:10
  • 徳沢愛子姉妹の多岐にわたるボランティア活動の良き模範を通して、被災地の若人も困難の中から自らの人生・将来を見出せれば、大きな価値のあることとなるでしょう。 -- 吉田憲博 2014-05-11 (日) 20:46:30

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